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わんちゃんの行動学

わんちゃんの行動学 第9回

愛犬との絆を結ぶためのトイレのしつけ方
~失敗してしまった時の適切な対処~

イメージ写真1  どんなに一生懸命トイレのしつけを頑張っていても失敗してしまうことは良くあります。特に子犬の頃は、まだまだ体の発育が十分ではないため、1歳ごろまでは排泄の調節が上手くいかず、思わぬ時に失敗をしてしまうこともあります。排泄を失敗したとしても、焦って感情的にならないように、冷静な対応を心がけることが大切です。

叱らない

イメージ写真2  以前は、排泄を失敗してしまった場合、失敗した場所まで子犬を連れていき叱りつけるという方法が紹介されていました。しかし、犬にとって排泄を失敗することが悪いこととは考えられません。そのため反省するどころか、ただ単に飼い主さんに対する恐怖心だけを抱いてしまうため、叱られないためにソファーの下やテレビの後ろなど、飼い主さんの目が届かない場所で排泄を繰り返すようになり失敗を更に悪化させてしまいます。また、叱らなくても失敗してしまった際に慌てながら大きな声を出せば、子犬が驚いてしまい叱られたときと同じように恐怖心を抱いてしまうことがあります。排泄を失敗した際には、子犬に対して叱ったり大きな声をかけたりせず、静かに冷静に排泄物を処理するようにしましょう。また、「嫌がらせのためにわざと排泄を失敗している」と考えている飼い主さんもいますが、排泄を失敗することが嫌がらせとして成立するためには、犬が排泄物を汚いと認識していなければこの考え方は成り立ちません。しかし、犬は食糞をしたりコミュニケーションの一環として排泄をしたりすることからも、排泄物自体を人と同じように汚いものとみなしていないので嫌がらせで排泄を失敗しているわけではありません。誤った思い込みで犬を叱りつけてしまうと、飼い主さんとワンちゃんの関係性が悪化してしまうので、犬の排泄の特性を正しく理解する必要があります。

排泄物の処理方法

イメージ写真3  排泄物を処理するときには、失敗した場所の匂いを完全に取り去る必要があります。犬は自分の排泄物の匂いによって排泄が誘発されるため、匂いが残っているとそこでの排泄を繰り返すようになります。多くの飼い主さんが、排泄物を取り除いた後、消臭スプレーを吹きかけるといった対応を取ることが多いですが、犬は人間の100万倍~1憶倍かぎ分ける能力が高いため、人にとっては匂いが消えたように感じても、犬が嗅ぎ取れる匂いが残ってしまい、再び同じ場所で排泄の失敗を繰り返してしまうことがよくあります。失敗した場合は、排泄物を取り去った後、食器用洗剤や洗浄効果のあるスプレーなどで十分に洗浄し、その上から消臭スプレーをかけることで十分に匂いを取り去ることができます。
スタディ・ドッグ・スクール

スタディ・ドッグ・スクール

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鹿野正顕(学術博士)

鹿   まさあき(学術博士)

スタディ・ドッグ・スクール代表 株式会社Animal Life Solutions(ALS)代表取締役社長
日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)理事・事業企画委員
動物介在教育療法学会(ASAET)理事 世界最大家庭犬トレーナー資格 CPDT-KA

麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。麻布大学卒業後、人と動物の関係に関する専門家の育成・普及を目指し、株式会社Animal Life Solutionsを設立し、飼い主教育を目的としたしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の企画・運営を行いながら、トレーナーとしても指導に携わっている。

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