知っておきたいわんちゃんのこと
知っておきたい
抗体価のこと
年に1回、接種をすることが主流となっている犬のワクチン接種。
しかし近年ではワクチン接種による副作用のリスクを考え、まずはワクチンの免疫力が残っているか調べる「抗体価検査」が推奨され始めました。そこで今回、兵藤動物病院 本院(二俣川)の家入院長に抗体価についてお話を伺いました。
1963年 熊本県生まれ
1988年 酪農学園大学 獣医学科卒
1992年より兵藤動物病院勤務、現在、院長を務める。
家入
庄一郎
ワクチンの仕組みって?
皆さん犬のワクチンについてはよくご存じだと思います。狂犬病ワクチンをはじめとして、数種類の混合ワクチンがあり、いずれかを接種されていると思います。そもそもワクチンとはどうやって動物を感染症からまもっているのでしょうか。
人や動物にウイルスや細菌の感染が起こると、その個体の免疫力により抗体が作られます。この抗体は次の感染の時には真っ先に病原体に反応して発症を抑えるように働きます。これにより重篤な症状が出るのを抑えているのです。この抗体を健康な動物の体に作るのがワクチンです。健康な動物に病原体をいれるわけですからワクチンには無毒化や弱毒化した病原体がつかわれます。
このようにワクチンとはその動物がもつ免疫力を利用して、感染症から体を守る予防手段です。ですから、その個体によっては同じ様にワクチン接種しても抗体のでき方もかわってくる場合があります。また、前述しました通り、病原体を健康な体に入れるわけですから、個体によっては副反応が出ることがまれにあります。あるいは、接種時の体調などによっても接種後に具合が悪くなる子もいます。
抗体価検査について
現在、より安全にワクチン接種を行うために抗体価検査を実施し、それに基づいたワクチン接種が考えられています。抗体価、つまり体内に今どれくらいの抗体があるのかを調べることです。それによって愛犬が、発症を抑える十分な抗体を持っているのか、抗体が低く感染する可能性があるのかを知ることが可能です。抗体価が発症を抑えるのに十分無ければワクチン接種を行う必要があります。
抗体価検査は動物専門の検査機関で実施しておりますし、最近では病院内で簡単にキットを使って測定できるようにもなりました。
ワクチン接種により具合が悪くなる子、高齢な犬など、ワクチンを接種したほうが良いか迷われる方は時々おられます。このような場合に抗体価を測定することで接種する判断の一助になると思います。
愛犬に合ったワクチン接種を
ワクチン接種は感染症から犬を守るための大切な方法で、今後もそれは変わらないと思います。ただ、その接種の方法は変わりつつあるのかもしれません。
1番大切なことは愛犬の年齢、生活する地域、環境、生活スタイルを考えどのようなプランでワクチン接種を行うかをかかりつけの先生と相談し、実施していくことだと思います。
筆者profile/家入 庄一郎
兵藤動物病院 本院
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