「くさい」、「汚い」、そんな悪いイメージの強いうんちですが、実はわんちゃんの体調を知るうえで、とても大切なものです。うんちからわかる、わんちゃんの情報はたくさんあります。例えば、一番わかりやすいのがうんちの「形」です。硬いのか、柔らかいのか、形のない下痢の状態なのか。下痢をしていれば、ひと目で体調が悪いことがわかりますし、いつもよりうんちが柔らかいだけでも、「あれ？いつもと違う」と気づくことができます。うんちの形だけでなく、色やにおい、回数、量など毎日のちょっとした変化は、体調の変化を反映する大切なメッセージなのです。

　近年ではうんちの中の細菌が、見た目からだけではわからない多くの情報を提供してくれることが明らかになってきました。私達もわんちゃんも、食べ物を腸で消化・吸収する際には、腸の中にいる細菌（腸内細菌）の力を借りています。腸のなかには様々な種の腸内細菌が生息していて、これらをまとめて腸内細菌叢（ちょうないさいきんそう）と呼んでいます。ヒトでは腸内細菌と病気の関係についての研究が盛んに行われていて、腸内細菌叢を検査するサービスも始まっています。わんちゃんでは、まだまだ研究段階ではありますが、腸内細菌叢のバランスの変化が、消化器や皮膚の病気に関連していることが徐々にわかってきました。当社でも、この腸内細菌に着目して、わんちゃんをはじめとした様々などうぶつ達の健康状態との関連性について研究しています。このように、わんちゃんの腸のなかにいる細菌を、うんちから検査する腸内細菌叢検査は、現在の健康状態だけでなく、今後発症する病気を予測する指標にもなるかもしれません。
　うんちは言葉を交わせないわんちゃんからの大切なメッセージです。そう思うとうんちのにおいも気になりませんね。

引き続き、腸内細菌について連載予定！お楽しみに♪