×

神奈川県(横浜・川崎・相模原)の動物病院、ペットショップ、ペットホテルなどを検索できる地域密着のペット情報サイト
掲載数 1996

トップ >> 知っておきたいわんちゃんのこと >> 知っておきたい胃拡張捻転のこと

知っておきたいわんちゃんのこと

知っておきたい
胃拡張捻転のこと

さっきまで元気だった愛犬が急によだれをたらして苦しんでる!?そんな健康な子でも突然発症する可能性のある胃拡張捻転。今回は中区にある横浜山手犬猫医療センターの川合智行先生に執筆していただきました。
もしもに備え、知識を身につけていきましょう!

川合智行

日本動物病院協会
外科認定医
専門分野
一般外科、整形外科

かわともゆき

胃拡張・胃捻転症候群とは?

 胃が拡張し、その後捻転を起こすことで、腹部臓器が圧迫されショック状態に陥る緊急性の高い病気です。特にグレート・デーン、ジャーマン・シェパード、セント・バーナードなどの大型犬や超大型犬で、胸が深い犬種に多く発生します。
 はっきりとした原因は不明ですが、胃内に停滞する液体やガスの増加や食後の運動による胃拡張が主な原因となり、胃拡張に伴って胃捻転を起こします。食べる速度がはやいことで空気を一緒に飲み込んでしまっていたり、多量のドライフードを食べた後に水を飲むことにより、胃の内容物が膨張することが胃拡張の要因の一つなることもありますので食事の与え方には注意が必要です。その他にも、加齢による胃を支えている靭帯の劣化など、さまざまな原因が指摘されています。

病気の犬

主な症状は?

 胃が拡張するため、腹部がいつもより膨満していることが確認できます。嘔吐をしたくても吐物がでない状態になり、よだれを流し苦しそうになります。その後、呼吸困難、目に見える部分の粘膜が白く退色する、脈圧が低下する、などのショック症状を起こします。夜間の方が発生が多く、そのまま治療をしないで放置しておくと数時間で死亡する場合があります。

治療法は?

 胃の減圧処置とショック症状の治療を行います。減圧処理は胃内にチューブを挿入、あるいは皮膚の上から注射針を胃内に刺してガスを排出します。ショック状態の治療にはステロイドの投薬や、静脈への点滴を行います。ショック状態が落ち着いたら開腹手術による外科的治療を行います。一般的な手術は、捻転している胃を元の位置に戻すことと、再発を防ぐために胃を腹壁(お腹側の膜)に固定する手術となります。

胃拡張捻転を防ぐには?

 1回の食事で沢山の量を与えたり、食後すぐに運動をしたりしないようにしましょう。特に大型犬で胸の深いわんちゃんは注意をしてください。食事の回数を1回だけでなく、2回以上に分けることなども予防になります。
 胃拡張胃捻転症候群は健康なわんちゃんであっても急に発症する、命にかかわる大変恐い病気です。いざという時のために夜間緊急対応可能な病院をあらかじめ探しておくことだけでなく、旅行先での病院も調べておくと安心です。

筆者profile/川合智行

横浜山手犬猫医療センター

病院外観

所在地:〒231-0866 横浜市中区柏葉27-4 アーバンヒルズ1F
TEL:045-228-8711
診療時間:午前:9:30~12:00
     午後:16:00~19:00
休診日:年中無休

前の記事へ

次の記事へ

トップページに戻る